月の視直径
 同じ機材で撮っていると、日を置くと同じ焦点距離(倍率)なのに月の直径が異なることに気付かされる。論より証拠、実際に条件を揃えた満月の画像を並べてみよう。
 上の大きい満月は2008年12月12日の撮影。小さな満月は同年5月20日に撮っているが、計測してみると両者の大きさは実に12%も違う。これは地球を周回する月の軌道が均一でないことに由来する。左の大きな月は地球から356,707kmで、小さな月は406,399km。実はこの二枚、それぞれ2008年の視直径最大(最近点)と最小(最遠点)前後。理屈では判ったつもりでも、並べてみると大きさの違いに驚かされてしまう。
(近頃は最近と最遠の満月をスーパームーンと称するらしい)

非対称の月
 月の撮影を続けていると、肥えゆく半月すなわち上弦の月がドラマチックな表情であるのに比べ、痩せゆく半月である下弦の月はノッペリした印象を受けてしまう。順光の満月では判りにくいが、サイド光となる半月前後では起伏の差が目立ってくるからなのだろう。
 まるで割れたような絵柄になってしまったが、ほぼ対称を為す欠け具合の月を合成してみた。クレーターの存在感が圧倒的な右の半月に比べると、左のそれは冴えない表情に見えてしまう。

◆月の立体視
 平行法で立体的に見えるよう、90分間隔を置いて月を撮った。いささか乱暴な例えだが、鏡筒間が2000kmの双眼鏡で見たイメージ。と言ってもなにしろ月は400,000kmの彼方。軸間2000kmなどでは大した効果は望めないかもしれない。
 ちょっとしたコツが必要だが、左右それぞれの目で左右の画像を見る要領。真ん中にぼうっと浮き出て見えれば大正解。

◆地球照(Earthshine)
 輝度の高い地球は太陽光を反射して月を照らし出す。月面の欠けた夜の部分がうっすら見える現象を地球照と呼ぶ。
 左のように引き気味の画像だと粗が目立たないが、アップで撮るとダイナミックレンジの限界を超えており、地球照で浮かびあがった暗部に合わせた露出だとハイライトがとんでしまう。



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